
ご挨拶

九州大学EUセンターは、EUそして広くヨーロッパに関する研究・教育・アウトリーチ活動を推進する九州大学内の共同教育研究センターです。これまで、八谷まち子・岩田健治両先生が創設と発展にご尽力されたこのEUセンターの運営に、皆様のご協力を賜りながら日々取り組んで参る所存です。どうぞよろしくお願い申し上げます。
九州大学EUセンターは、日本はもとより東アジアにおけるEU研究の主要なハブの一つとして、シンポジウム、セミナー、EUディプロマプログラム、市民講座活動など多彩な活動を展開しております。2024年12月より新たに開始したジャン・モネCoE九州第三期では、EUそして広くヨーロッパに関する研究・教育を統合したエコシステムの展開と、そして、EUの価値や政策についてアカデミアに閉じず市民の皆様を含む幅広い方々に知識を共有していくこととの二つの大きな柱を立ててプロジェクトを推進しております。
ところで、日本に住む私たちにとって、なぜEUやヨーロッパが重要なのでしょうか。
第一は、地域統合のベンチマークとしての重要性です。二度の大戦への反省から、戦後のヨーロッパは主権国家を維持しながら様々な地域の協力枠組を構築してきました。その地域統合の中心を担う機関がEUです。EUに至るヨーロッパ統合の歴史や現状、そして統合を進めたがゆえに直面した課題をつぶさに学ぶことで、私たちの住む日本やアジアを含め様々な組織における「多様性の中の調和」を考える際の様々なアイデアを得られましょう。
第二は、現代の世界に共通する諸問題に果敢に挑戦する先駆者としての重要性です。ヨーロッパの多くの国が、エネルギー・環境問題、少子高齢化、経済格差、移民問題など、いまや世界の全ての社会が解決すべき課題に直面しています。こうした世界的課題にいち早く直面した課題先進地のヨーロッパが、それらをどう克服しようとしてきたのか、そしてその帰結はどうなったのか、学ぶべきことは山とあります。
第三は、グローバル・アクターとしての重要性です。EUは、加盟27ヵ国、人口4.5億人、世界のGDPの15%を占め、世界の政治・経済・文化・科学技術にとってアメリカに次ぐ重要なアクターとなっています。EUやヨーロッパをよく知り、それぞれの分野で交流を深めることは、グローバル化を標榜する大学にとって、いまや避けて通ることのできない課題です。
また、福岡に所在する私たちの九州大学にとって、EUやヨーロッパに関する研究・教育を行うことにも大きな意義があります。一つは、九州大学におけるこれまでのEU研究の蓄積です。EU法、EU政治、EU経済といったEUそのものを扱う諸分野はもちろん、EU加盟ヵ国を含むヨーロッパの文化、歴史、環境など、九州大学にはEUやヨーロッパの各分野のスペシャリストが集結しています。そうした専門家の力を合わせていくことは、総合知で社会変革の牽引を目指す九州大学にとって、極めて重要な使命です。もう一つは、福岡や九州という地域自体が、歴史的にアジアやヨーロッパへの玄関口となってきたという事実です。古くは大陸の文物はこの九州を経由して、京都や江戸まで運ばれて行きました。現代でも、福岡空港の国際線利用者は年間約2,500万人、博多港には年間3,000隻を超える外国航路の船が入港しています。九州大学伊都キャンパスのある伊都の地は、いわゆる『魏志倭人伝』にも邪馬台国と並び「伊都国」として記述のある、太古から世界に開かれた地域です。
EUセンターは、EUや広くヨーロッパに関する社会科学・人文学・自然科学の知見を重ね合わせる機会を提供することで、現代の様々な知的課題に挑戦して参る所存です。皆様のご理解・ご協力を賜れましたら望外の喜びです。
九州大学EUセンター長 蓮見 二郎


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